TPPと国民皆保険、混合診療(カトラー代表補との会談)

 兵庫県医師会の「医政フォーラム」に参加してきた。神戸の医師会館で、午後2時から6時前まで、内容の濃いフォーラムだった。地元兵庫県の医師会の先生方が何を考えておられるかをしっかり把握したくて、全部しっかり聞いてきた。
  社会保障制度改革推進法の問題点、TPPの医療への影響、医療特区、関西イノベーション特区、今後の医療体制、高齢者医療の各トピックについて、医師会の先生方からプレゼンテーションが有り、その後デイスカッションが行われた。
  私から、最後に(フロアからの発言として)TPPについて述べた。以前にフェイスブックでも少し触れたが、アメリカのカトラー通商代表補は、昨年の3月1日と2日、東京で開催された「米国―アジア・ビジネスサミット」において、
「TPPは、
① 日本や他の国の国民医療保険制度を民間ベースの医療保険制度に変更を求めるものではない。
② 混合診療を含め、民間の健康サービス提供者に関して日本の制度変更を求めるものではない。
③ 日本の学校で英語による授業を求めるものではない。
④ 単純労働者受け入れを求めるものではない。
⑤ 他の国の専門家資格の承認を求めるものではない。」
と明言した。  

 国民皆保険をいじるものではないこと、及び混合診療を求めるものではないことを明言し、日本側の懸念を払拭するものだ。  
 これは、私が外務副大臣として、カトラー代表補と何度か話したことの結果だ。当時、私から、「野田総理(当時)は、TPP交渉参加を考えている。アメリカのオバマ大統領は、雇用を増やすために輸出を増やしたい。その輸出は誰が吸収するのか?(TPP交渉参加国のうち)ペルーか?チリか?NZか?無理だろう。オーストラリアでも無理だろう。ベトナム、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、皆無理だ。日本しか吸収できない。その場合、日本の貿易収支的にはマイナスだが、10年後には大輪の華が咲くことを確信しているから、TPP交渉参加を考えているのだ。だから、医療、保険で無理を言わないで欲しい。医療、保険で無理な事を言うので有れば、野田総理にはTPPに署名させない。」と強く言った。私の外務省時代の後輩にあたる在米大の経済担当公使が、「山口・カトラー会談の報告電報を見る度に、山口さんの言い方が強すぎるのではないかとハラハラ心配していますよ。」と言ってくる程 だった。  
 間違いなく、カトラー代表補は、ワシントンの関係省庁と相談したと思う。そしてその結果、上記のような明言に至ったと思う。  
 医師会等でこのことが知られていないのは、残念だ。医師会の先生方の話を聞いていると、このことを全くご存じないことがはっきり分かる。
 アメリカにとって医療はそれ程のことでもない。アメリカにとって、自動車と保険(がん保険は、アフラックが日本市場の7割を独占)が最大のポイントだ。
(了)