「リベラル保守」

 私の政治家としてのモデルは、吉田茂(外務省の大先輩)です。吉田茂は、軍部に抗して英米と連携しようとして憲兵隊に捕まり投獄されたほどリベラルであると同時に、天皇陛下の御前では自らを「臣茂」と呼ぶ保守主義者であり、「リベラルな保守」でした。
 リベラルと保守は結びつき得るものであり、吉田茂がその体現者でした。吉田学校から、池田勇人、宮沢喜一、という宏池会の流れ、また、佐藤栄作という田中派の流れにつながりますが、今の自民党にはその面影は乏しく、安倍さん、石破さんという、派生的な人達が主流になっているように見えます。
 リベラル保守の観点からは、TPPは極めて親和性の高い結論です。
 トインビーという歴史家は、いずれ文明の重心は西洋から東洋に(大西洋から太平洋に)移ると予言しました。確かに経済は、アメリカやヨーロッパの経済が疲弊している中、アジアの経済は成長しています。少し癪ですが、中国や韓国の経済の伸びは著しい。だから世界はアジア・太平洋に新しい仕組みを作って、世界経済の立て直しを図ろうとしています。
 私が(外務副大臣時代に)TPP(環太平洋経済連携)、日中韓自由貿易協定、等々に取り組んだのもそれを意識してのことでした。
 日本は昔から、遣隋使、遣唐使などを通じて、外の文化即ち違いを受け入れ、進化してきました。維新の後も、太平洋戦争後もそうでした。それが古来日本のやり方、即ち保守です。TPP、自由貿易協定等々も、その意味では、日本の保守のやり方に沿うものと言えます。それらはまた、新たな秩序をつくるという意味ではリベラルでもあります。

それは極めて吉田茂的な政策であると同時に、東洋と西洋を結びつける文明論的な政策でもあります。