「北東アジア経済連携」構想
今日は、二階幹事長と共に、駐日ロシア連邦大使のアファナシエフさんと夕食会だった。
非常に中身の濃い意見交換、アイデアの交換が有った。
私からは、持論の「北東アジア経済連携」構想について述べた。
これは、日本海を囲む、①日本、②ロシア、③韓国、④中国、⑤モンゴル、及び(日本海からは遠いが)⑥アメリカの6か国を想定する枠組みである。
アメリカについては、トランプ大統領が多国間の枠組みには消極的であり、乗ってこないと思われるが、「招待状」だけは出し続け、乗って来る来ないはアメリカの勝手とすればよい。
なお、北朝鮮については、当初除外する。後で参加を希望する場合には、「行儀よくなる」ことが条件。
2012年私が外務副大臣だった頃、東京青山にある国連大学でこの北東アジア経済連携をテーマに外務省として正式に国際会議を開催した。「エネルギー協力」と「金融協力」の二つの分野の専門家を6か国から招き、大変有意義な意見交換を行った。開催にあたっては、新潟のERINA(環日本海経済研究所)にお世話になった。また、開催実現に向けて、外務副大臣としてモスクワ、北京、ソウルに自ら出向き、いい専門家を送ってほしい旨お願いに行った。ワシントンとウランバートルは大使館から声をかけてもらった。
発想としては、「環太平洋経済連携」(TPP)が有るのであれば、環日本海が有ってもいいじゃないか、と思い、「北東アジア経済連携」との呼称で構想を打ち上げた。トランプさんがアメリカ大統領となってTPPが否定されるに至り、この構想はむしろ重要性を増していると思う。
私が尖閣問題で当時の民主党政権との間で決定的な意見衝突となり、外務副大臣の職を去ったことによりこの構想は宙に浮いた形になっているが、今日の二階幹事長とアファナシエフ大使との夕食会で、私からも何か言えとの促しを受けて「北東アジア経済連携」構想について話させて頂いた。
エネルギー協力は具体的にプロジェクトが既に議論されているが、金融協力について、当時もロシアは強い関心を示した。それは、アジア開発銀行(ADB)にロシアが加入できておらず、ADBから融資を受けられないという背景の中で、私が「北東アジア開発銀行」を設立しようと提唱したものだから、ロシアとしてはそこから極東ロシア、シベリア開発に融資が可能になるのではないかとの目論見で強い関心を示したのだと思う。この「北東アジア開発銀行」構想には、当時、外務副大臣としての私に民間銀行の方から打診が入り、設立に際しては是非出資したいし、他にもそのような銀行がいくつも有ると聞かせて頂き、大変心強く思った次第だった。この構想は現在もその意義は衰えてないどころか、むしろ重要性を増していると思う。
先に述べたように尖閣をめぐり私が民主党政権との決定的な意見衝突に至り、この構想が宙に浮いてしまったわけだが、その後、中国がAIIBというアイデアを実現させてしまい、私としては悔しい思いだ。ただ、AIIBは中央アジアのことで忙しいようだから、極東のことはこの「北東アジア開発銀行」が面倒みるという一種の「分業」も有り得る。
また、新たな分野として農業協力も有り得る。
この「北東アジア経済連携」構想の枠組みに、いずれ時をおかずに安全保障的な要素を加えてもよいのではないか。即ち、「信頼醸成措置」(CBM)という、例えば軍隊を移動させる際は、互いに通報しあって、誤って戦争にならないようにしよう等の仕組みを加えることを検討する価値は有ると思う。既存の捜索救難の仕組み等も組み合わせれば、立派な枠組みになる。その際は経済の語をとって、シンプルに「北東アジア連携」と呼んでもよいだろう。
こういう仕組みをアジア太平洋に拡げると、「アジア太平洋協定」ということになる。これを、現在アメリカが孤立主義に陥る中、日本として、アジア・太平洋地域の平和と繁栄を創り出すための壮大なビジョンとして、私自身の「ミッション・ワーク」ととらえて、二階幹事長のアドバイスも得ながら、この際一歩でも前に進めようと志を立てている。
昨日エコノミスト誌によるトランプ大統領のロシア接近警戒論を紹介し、また私もその趣旨に同感する旨述べた。ロシアの分断策を警戒するからだ。ここで述べた「北東アジア経済連携」構想は分断とは真逆の考え方だ。
ちなみに、ERINAのサイトにある地図について、ここにリンク張ります。