トランプ大統領のシリア攻撃と国連憲章
アメリカのトランプ大統領がシリアを軍事攻撃したが、国連憲章は武力の行使を禁止し、例外は、自衛権発動(含む、集団的自衛権)の場合と国連軍による場合の二つだけと定めている。
アメリカが中心となり国際連合を創設した際、もう戦争がなくなるようにとの願いを込めて国連加盟国には武力の行使を禁止する国連憲章を定めた。但し、国際社会は国内社会のように組織化が不十分であり、全面的に武力の行使を禁止することは現実的ではないとし、自衛の場合は例外とした。そして当時冷戦が既に進みつつあったので、国連憲章は新たに「集団的自衛権」という概念をつくった。
もう一つの場合の国連軍による集団安全保障は集団的自衛権と異なる概念だ。専門的なので詳細は略するが、安全保障理事会の決定に基づく国連軍による集団安全保障措置は未だに行われたことはない。国連による活動として、「平和維持活動」PKOがあるが、これは極めて限定的なもので、武力の行使ととは異なる。
今回のトランプ大統領によるアメリカのシリア攻撃は、このような国際法の枠組みから見ると、自衛権の発動でも、あるいは安保理事会の決定に基づく集団的安全保障でもどちらでもないことになる。
化学兵器の使用禁止に異論はないが、シリアのアサド政権が化学兵器を使ったかどうかの調査、「認定」は行われていない。また、化学兵器を国内で使用したからといって他国がその国に武力を行使することは、国連憲章が例外として認める①自衛の場合でも②安保理決定に基づく集団安全保障措置でもない。
アメリカのトランプ大統領からの呼びかけに対して、イギリスのメイ首相、フランスの̄マクロン大統領とも自制をかけてないことに対して違和感を感じる。アメリカを中心につくり上げてきた戦後の国際秩序が崩れつつあるのだろうか?